保守の視点

「保守の視点」から政治・歴史を語る

「こんな人たち」の政治戦略

 日本には「リベラル」を自称する勢力が存在するが、彼らから具体的な「リベラルな政策」が聞かれることはまずない。

 外交・安全保障政策では「憲法9条を守れ」だけであり、内政では例えば生活保護支給費の水準を巡る議論では「憲法25条を守れ」と言うだけである。

 生活保護支給費の水準などどう考えても財源の問題であり、これを改善するには国民の税負担を見直す議論になるわけだがリベラルはそういった議論ではできない。

 日本のリベラルはリベラルな社会を建設するのが目的ではなく自分がリベラルと評価されたいだけである。要するにタレントとかファッションの類である。だからリベラルは他人からの評価を何よりも優先する。

 他人からリベラルと評価されたいがために彼らがやることは「リベラルの敵」を攻撃することである。だからリベラルは「ネットウヨク」とか「保守」に異常な関心を示す。もっともリベラルの「ネットウヨク」「保守」への理解は相当に疑わしい。

 そして「敵」を設定し攻撃することで自らの正当性を確保する、支持を集めるという手法は裏返して言えば他人に魅力的な政策を提案して支持を集めるという手法が採れないからである。 

 リベラルは安倍政権を厳しく批判するが安倍政権が支持され長期政権化している最大の理由は日本最大の政治勢力たる無党派層の支持を得ているからである。だからリベラルが安倍政権を倒したいならば具体的なリベラルな政策を無党派層に示せば良いだけだがそれもできない。前記したように日本のリベラルはタレント、ファッションの類だからである。

 もちろんリベラルはタレントやファッションの類ではない。では日本でリベラルを名乗る人々は何者なのだろうか。安倍首相ではないが「こんな人たち」で十分な気がする。正確に言えばリベラルが腐敗・堕落し「こんな人たち」化したというところだろう。

 「こんな人たち」が日本社会をどうしたいのかよくわからないが彼らの中で憲法9条護持は絶対であることは間違いない。日本では憲法9条護持の姿勢を採れば誰でも「リベラル」を名乗れるのである。もちろん「こんな人たち」は政策に精通しているわけではない。

 リベラルを名乗る「こんな人たち」は日本国憲法聖典化し、それに反対する者、要するに改憲派を攻撃したいだけである。

もっとも「こんな人たち」は政治的には少数派であり、控えめにいって彼らもそのことを自覚していると思われる。では「こんな人たち」を少数派と認識して無視し放置しても良いのか。

 もちろんそんなことはない。「こんな人たち」が「こんな人たち」と呼ばれる所以を思い返してみよう。彼らを安倍首相の応援演説を妨害したのである。

 これは民主主義社会では絶対に許されないことであるし、また彼らの行動原理を読み解くうえで重要である。要するに「こんな人たち」は「多数派の中枢」を攻撃するのだ。多数派の中枢を攻撃することで多数派を機能不全に陥らせる。 

多数派たる自民党が機能不全になれば少なくとも改憲運動は停滞する。

 それだけでも「こんな人たち」にとっては大勝利であるし政治的コストも安い。

「多数派の中枢を攻撃する」ことが「こんな人たち」の政治戦略と言っても良いだろう。

 現在の森友・加計学園問題に絡む安倍首相、昭恵夫人両者への個人攻撃もこの政治戦略に基づいて行われていると言っても良い。そしてその発展形が国会前デモである。

 「多数派の中枢を攻撃する」ことで自らの「護憲」という政治目的を達成することはとても民主的ではないし選挙妨害や集団威圧を行う勢力を政治の世界に巻き込むことも極めて問題である。

 現在、選挙妨害は規制されているが現行法で十分なのか国会前デモが神聖化されているがそれで良いのか、警備人員は十分なのか、そして根拠のない報道は報道と呼べるのか改めて議論すべきだろう。

 ちなみに4月14日に反安倍勢力による国会前デモが実行された。筆者は現地には行けずネット動画でもその内容を確認したが、やはり高齢者が目立った。 

 量も2015年の安保法制反対デモと比較すれば相当に減少している。 

 運動として決して「強い」とは言えない。

 若者は反安倍勢力に冷ややかであり、高齢者も身体的限界が日に日に高まっているのだろう。

 4月14日の国会前デモを見る限り「多数派の中枢」を攻撃する「こんな人たち」の力は必ずしも強くないと評価できるかも知れない。

 しかし忘れてはならないのが彼らは自らの実力不足を補うために「敵の敵は味方」の論理を採用し新たな味方を呼び寄せるかもしれない。その味方とは「外国人活動家」である。

 「こんな人たち」界隈では朴槿恵大統領を打倒したいわゆる「ローソクデモ」が肯定的に評価されている。韓国人活動家が入国し日本でトラブルに巻き込まれた場合、韓国本国に救援を求める可能性もある。

現在の文在寅大統領が市民活動家出身であることを考えればその可能性は高い。その場合日韓関係は深刻化するだろう。

 要するに「こんな人たち」は外国の脅威を日本に招く恐れがある。