保守の視点

「保守の視点」から政治・歴史を語る

外国の同調・迎合者対策 その1

 安全保障における脅威、それは外国からの攻撃に他ならないが具体的にどのようなものがあるだろうか。

 最も想起されるのは軍事力の行使、即ち直接侵略である。ミサイルや爆弾が日本の都市や自衛隊基地に落とされ民間人や自衛官が死亡したり、建物が破壊される。

 このことは最も想像しやすい脅威であるし安全保障において最も避けなくてならない場面である。

 実際、政府がこの状況を招いたら、それは安全保障政策の失敗と評価できる。とりわけ民間人が多数存在する都市部への攻撃は深刻である。

 このように直接侵略は想像しやすい、その対処も雑駁に言えば「目に見える」軍事力の建設だから、やはり想像しやすい。

 直接侵略は想像しやすい脅威であり、その対策も単純である。一方で想像しにくい脅威として「間接侵略」が挙げられる。

 日本を侵略しようとする外国が直接侵略が困難ならば、侵略の手法を切り替えることは自然のことと言える。

 では間接侵略とは何か。それは外国自らが関与することを最小限とする、基本的に軍隊を使用しないで外国自らが派遣した工作員や日本国内に居る協力者を通じて日本の防衛体制の弱体化・混乱、そして最終的にはその破綻を図ることである。

 日本の防衛体制を破綻に追い込むまでしなくても間接侵略を通じて日本の弱体化が実現すれば、それは直接侵略の「露払い」「呼び水」となる。

 だから間接侵略と直接侵略は決して別個の独立した現象ではなく相互に関連している。間接侵略の成功は直接侵略を招くと言っても良いだろう。

 間接侵略で最も有名なのは外国の工作員によるスパイ活動である。代表的なスパイ活動とは国家の外交・安全保障に関する秘密情報を取得することである。 

 安全保障において「情報」は極めて重要な地位を占める。

 例えば日本を侵略しようとする外国が自衛隊保有する装備の能力、その運用法、作戦全般についての情報を事前に取得すればその外国は自衛隊に敗北することはない。

 相手方の能力、行動がわかれば決して戦争に敗北することはない。  

 だから外国によるスパイ活動の防止、即ち秘密情報の保全体制は重要である。

 かつて日本は「スパイ天国」と揶揄されていたが、安倍内閣によりいわゆる「秘密保全法」が制定され、秘密情報の保全体制は大きく改善した。

 「外国の工作員」と言う分類ではスパイ活動の他にも「武装工作員」が挙げられる。

 武装工作員は文字通り武装した工作員であり、彼らが所持する武器は爆発物、機関銃などの殺傷力の高い武器だろう。率直に言って「武装工作員」は想像しやすい脅威である。

 しかし間接侵略は外国が育成した「工作員」だけに限られない。

 「外国の協力者」をより広い視点で捉えて「工作員」に該当しない協力者もいる。

それは「同調・迎合者」である。ここではこの「同調・迎合者」に絞って議論したい。

 昨年、北朝鮮が日本上空に弾道ミサイルを通過させたが、これは言うまでなく武力による脅迫である。脅迫は直接な被害が発生させないが、相手方の動揺・混乱を誘う手法であり、合意形成に時間のかかる民主主義国家にとっては厳しい挑戦である。

 こうした脅迫に乗じて日本国内に居る脅迫国の同調・迎合者が日本政府に対して圧力を加える可能性もある。

 脅迫国の同調・迎合者は日本政府に圧力を加えるためにも日本国憲法で保障された各種権利を最大限利用するだろう。もしかしたら国会前デモを行うかもしれない。その光景は実に「民主的」だ。 

 このように同調・迎合者は日本国憲法の弱点を突くのである。

 脅迫国にとってこうした同調・迎合者は歓迎すべき存在であり、彼らはまさに脅迫国の「代弁者」「代行者」である。  

 脅迫国は同調・迎合者を通じて自らの要求を日本政府に受け入れさせることができるなら、それは政策的に「工作員の育成・派遣」よりも低コストである。経済的に破綻している北朝鮮のような国でも実行可能である。 

 言うまでもなくこうした脅迫国の同調・迎合者の存在自体、外国の日本への脅迫はもちろん対日侵略への心理的障壁を下げ直接侵略の誘惑も駆り立てる。

 つまり脅迫国の同調・迎合者の存在は日本への直接侵略を誘発する、言うなれば「侵略の呼び水」「侵略の案内人」「侵略の手配人」である。

 では脅迫国の同調・迎合者とは具体的にどのような存在が考えられるだろうか。

 真っ先に思い浮かぶのは職業的活動家である。脅迫国から何かしらの利益を提供された、あるいは提供されることを約束された存在である。

 彼らの社会的肩書きは様々だろうが、正に脅迫国の手先であり脅迫国の軍事的優越、日本の不利益(戦争被害など)を殊更強調し、合法デモなどを通じて脅迫国への「妥協」を日本政府に迫るだろう。

 また素朴な理由として脅迫国出身の在日外国人も同調・迎合者になる可能性がある。在日外国人は祖国への素朴な愛国心を持っていると考えるのが自然であり、それに基づき日本政府に「妥協」を求める圧力を加える可能性がある。

 最後に護憲派である。護憲派当人達の意識はともかく、客観的に見れば護憲派は「平和より憲法9条を守りたい」という思考であり政権与党が改憲政党である限り、護憲の名の下、憲法9条護持の名の下、脅迫国の立場にたって日本政府に「妥協」を求める圧力を加える可能性がある。

 とりわけ議論を呼びやすい同調・迎合者は脅迫国出身者である。

 もちろん単に脅迫国出身者ということだけ、つまり国籍だけで在日外国人を敵視してはならない。当然、言葉を選ぶ必要はある。しかしあらゆる可能性を検討するのが危機管理の鉄則である。タブーを作るべきではない。

 脅迫国出身者に対しては予め留意点、限界点を意識、設定することで差別的な対応を回避することもできる。

 いずれにしろ「隣国より隣人に警戒せよ」とまで言わないが今一度、間接侵略について議論を深める時に来ている。